金融庁がエヌエヌ生命保険に業務改善命令発動へ「節税保険」で組織的な不適切販売を問題視
金融庁は2月中にも外資系のエヌエヌ生命保険に対して保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で検討に入ったそうです。
これは、金融庁が法人向けの「節税保険」をめぐる不適切販売について問題視していることにより2022年2月に報告徴求命令を出したほか、同年9月からは立ち入り検査に踏み切って実態を詳しく調べていたそうです。
金融庁、エヌエヌ生命保険に業務改善命令発動へ「節税保険」で組織的な不適切販売を問題視
(東洋経済ONLINE 2023/02/10 16:11東洋経済記者中村正毅)
金融庁は2月中にも、外資系のエヌエヌ生命保険に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で検討に入った。
金融庁は法人向けの「節税保険」をめぐる不適切販売について問題視しており、2022年2月に報告徴求命令を出したほか、同年9月からは立ち入り検査に踏み切って実態を詳しく調べていた。
保険の「節税売り」に鉄槌
金融庁が問題視しているのは、低解約返戻金型逓増定期保険という商品を利用した「名義変更プラン」と呼ばれる租税回避行為だ。
同商品は契約から5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。
また契約名義を法人から個人に移すと、解約返戻金は税制上一時所得の扱いとなる。
そうした仕組みを利用して、5年目を迎える直前に名義を法人から個人に変更して契約を譲渡することで、税負担を一時的に大きく軽減するというものだ。
節税保険をめぐっては、金融庁や国税庁が2019年以降、不適切販売について取り締まりを強化している。
こうした名義変更プランによる租税回避行為は、2021年6月に国税庁が実施した所得税基本通達の改正によって封じられたほか、通達改正以前の過去の契約についても、さかのぼって節税を不可能にする厳しい措置を講じていた。
過去の契約にもさかのぼることで影響を受ける契約者が多いという重大性を踏まえて、金融庁は名義変更プランの売り込みに汗を流していた一部の生命保険会社に対する監視を強化。
調べを進める中で、2022年7月には外資系大手のマニュライフ生命保険に対し行政処分を下している。
エヌエヌ生命も同様に、2021年まで旧経営陣をはじめとして組織的かつ反復的に不適切販売にいそしんでいた疑いが強かったことから、マニュライフ生命に対する処分後間もなくして、金融庁は立ち入り検査に踏み切り、このほど業務改善命令の発動を検討するに至ったというわけだ。
節税の指南書まで作成して販売を拡大
さらに金融庁は、販売方法やコンプライアンス(法令順守)体制についても問題視している。
エヌエヌ生命の関係者によると、同社の営業担当者が名義変更による節税のカラクリを解説した「指南書(私製文書)」を内々に作成し、税理士などが営む保険代理店を通じて拡販していたという。
また、こうした不適切販売を防ぐためには体制整備やコンプライアンス方針の策定が必須。だが、「なおざりの状態で、組織的な牽制機能はないに等しい状態だった」とエヌエヌ生命の元社員は明かす。
そのため今後は内部統制などの体制整備に加えて、ビジネスモデルの抜本的な見直しも不可欠だ。
なぜならエヌエヌ生命は中小企業オーナーを主な顧客として、「売り上げの8割前後は節税絡みの商品」(前出の元社員)という状況にあるからだ。
とはいえ、死亡保障など純粋な保障性商品の販売にすぐに舵を切るというのも容易ではない。
収益の柱が崩れ落ちる中で、業界内では再編候補の筆頭格として取り沙汰されているものの、関心を示している生保があるとの声は今のところ聞こえてこない。
となると経営を監督する金融庁は今後、保険販売の適正化と併せて、事業の再構築や経営の持続可能性に関する綿密なモニタリングも必要になりそうだ。

これは、金融庁が法人向けの「節税保険」をめぐる不適切販売について問題視していることにより2022年2月に報告徴求命令を出したほか、同年9月からは立ち入り検査に踏み切って実態を詳しく調べていたそうです。
金融庁、エヌエヌ生命保険に業務改善命令発動へ「節税保険」で組織的な不適切販売を問題視
(東洋経済ONLINE 2023/02/10 16:11東洋経済記者中村正毅)
金融庁は2月中にも、外資系のエヌエヌ生命保険に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で検討に入った。
金融庁は法人向けの「節税保険」をめぐる不適切販売について問題視しており、2022年2月に報告徴求命令を出したほか、同年9月からは立ち入り検査に踏み切って実態を詳しく調べていた。
保険の「節税売り」に鉄槌
金融庁が問題視しているのは、低解約返戻金型逓増定期保険という商品を利用した「名義変更プラン」と呼ばれる租税回避行為だ。
同商品は契約から5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。
また契約名義を法人から個人に移すと、解約返戻金は税制上一時所得の扱いとなる。
そうした仕組みを利用して、5年目を迎える直前に名義を法人から個人に変更して契約を譲渡することで、税負担を一時的に大きく軽減するというものだ。
節税保険をめぐっては、金融庁や国税庁が2019年以降、不適切販売について取り締まりを強化している。
こうした名義変更プランによる租税回避行為は、2021年6月に国税庁が実施した所得税基本通達の改正によって封じられたほか、通達改正以前の過去の契約についても、さかのぼって節税を不可能にする厳しい措置を講じていた。
過去の契約にもさかのぼることで影響を受ける契約者が多いという重大性を踏まえて、金融庁は名義変更プランの売り込みに汗を流していた一部の生命保険会社に対する監視を強化。
調べを進める中で、2022年7月には外資系大手のマニュライフ生命保険に対し行政処分を下している。
エヌエヌ生命も同様に、2021年まで旧経営陣をはじめとして組織的かつ反復的に不適切販売にいそしんでいた疑いが強かったことから、マニュライフ生命に対する処分後間もなくして、金融庁は立ち入り検査に踏み切り、このほど業務改善命令の発動を検討するに至ったというわけだ。
節税の指南書まで作成して販売を拡大
さらに金融庁は、販売方法やコンプライアンス(法令順守)体制についても問題視している。
エヌエヌ生命の関係者によると、同社の営業担当者が名義変更による節税のカラクリを解説した「指南書(私製文書)」を内々に作成し、税理士などが営む保険代理店を通じて拡販していたという。
また、こうした不適切販売を防ぐためには体制整備やコンプライアンス方針の策定が必須。だが、「なおざりの状態で、組織的な牽制機能はないに等しい状態だった」とエヌエヌ生命の元社員は明かす。
そのため今後は内部統制などの体制整備に加えて、ビジネスモデルの抜本的な見直しも不可欠だ。
なぜならエヌエヌ生命は中小企業オーナーを主な顧客として、「売り上げの8割前後は節税絡みの商品」(前出の元社員)という状況にあるからだ。
とはいえ、死亡保障など純粋な保障性商品の販売にすぐに舵を切るというのも容易ではない。
収益の柱が崩れ落ちる中で、業界内では再編候補の筆頭格として取り沙汰されているものの、関心を示している生保があるとの声は今のところ聞こえてこない。
となると経営を監督する金融庁は今後、保険販売の適正化と併せて、事業の再構築や経営の持続可能性に関する綿密なモニタリングも必要になりそうだ。
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