金融庁が激怒、保険業界の「新営業指針」の甘さ金銭詐取などの再発防止で問われる実効性
現在、生命保険業界で「新営業指針」の甘さや金銭搾取等の再発防止に向けた指針策定すら右往左往しているのですが、そのような中で果たして新たな営業指針が今後まとまったとして各社はその実効性を本当に確保できるのだろうかと囁かれています。
しかし、これは毒にも薬にもならないようなシャビイ(お粗末)なものを当初提示してきており、この業界は本当に自浄能力があるのかと疑問に思わざるをえなかったと金融庁の幹部が苛立ったような表情で話しているようで、酷評するのは生命保険業界が策定に向けて目下議論を進めている新たな営業管理指針だといわれ、業界団体の生命保険協会が中心となり同指針の検討を始めたのは2022年4月のことで、第一生命で元営業職員による19億円以上もの金銭詐取事件が発覚した2020年以前から生保各社では数千万円やときに1億円を優に超える金銭詐取事案が相次いでいることから、金融庁から実効性のある対策を求められたことがきっかけだったようです。
金融庁が激怒、保険業界の「新営業指針」の甘さ金銭詐取などの再発防止で問われる実効性
( 東洋経済ONLINE 2022/12/27 8:20 東洋経済記者: 中村 正毅 )
生命保険業界は再発防止に向けた指針策定すら右往左往している。
果たして、新たな営業指針が今後まとまったとして、各社はその実効性を本当に確保できるのか。
「毒にも薬にもならないようなシャビイ(お粗末)なものを当初提示してきて、この業界は本当に自浄能力があるのかと疑問に思わざるをえなかった」
金融庁の幹部が苛立ったような表情でそう話し、酷評するのは生命保険業界が策定に向けて目下議論を進めている新たな営業管理指針だ。
業界団体の生命保険協会が中心となり、同指針の検討を始めたのは2022年4月のこと。第一生命で元営業職員による19億円以上もの金銭詐取事件が発覚した2020年以前から、生保各社では数千万円やときに1億円を優に超える金銭詐取事案が相次いでおり、金融庁から実効性のある対策を求められたことがきっかけだった。
草案の中身は「基本中の基本」のことばかり
2022年9月に作業部会の初会合を開いて以降、あずさ監査法人の助言も得ながら、生保各社のトップとの意見交換などを経て、指針の草案が出来上がったのは11月に入ってからだ。
「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」というタイトルで、その内容は大きく分けて2つ。
「経営陣によるガバナンス(統治)体制」と「営業現場やコンプラ部門などのリスク管理のあり方」だ。
指摘事項は、営業職員を統括する支社長の役割や人事・報酬制度にはじまり、高齢の営業職員や成績優秀者への対応、金銭詐取を生じさせないための取り組みなど多岐にわたる。
A4判17ページで、各項目において参考にすべき取り組み事例を紹介するなど、営業現場で理解が深まる工夫も凝らしていた。
ところが、書かれている中身はといえば、「内部監査部門がその機能を十分に果たすには(中略)独立性が担保されていることが重要である」など、リスク管理の基本中の基本といえることばかり。
「管理態勢の更なる高度化」を謳っていながら、冒頭で金融庁幹部が酷評した通り、総じて毒にも薬にもならない稚拙な内容だったのだ。
骨抜きともいえる指針が出来上がる懸念は、当初からあった。
タイトルの文言を「ガイドライン(指針)」とすることに一部の生保が文句をつけ、「着眼点」に変更するなど、とにかく「業界として一律の規制が実質的にかかるようなことに対してアレルギー反応を示していた」(金融庁幹部)からだ。
そうした生保各社の消極的な姿勢が色濃く反映された指針に、金融庁が首を縦に振るはずもなかった。
さらに一部の生保が、独占禁止法を持ち出して指針の策定そのものに反発したことで、金融庁の強烈な不興を買うことにもなった。
生保各社が指針によって一律の営業管理態勢を敷くことになれば、カルテルや談合といった独禁法に抵触する行為につながりかねない、というのがその生保の主張だったが、金銭詐取など法令違反の再発防止を主眼とした業界全体での取り組みに、独禁法の観点を持ち出す必要性はまったくないはずだ。
金融庁が草案を一蹴し、大幅修正を要請
「業界としてミニマムスタンダードを歓迎しているのか」「このままでは到底世間に公表できない」。怒り心頭の金融庁はそう言って、指針の草案を一蹴。業界として内容の大幅修正を命じられるという有り様だった。
それから数週間後の2022年12月。業界側が改めて金融庁に提示した指針は、17ページから26ページに増え、内部監査に関する記述では、権限の強化や懲戒処分手続きに踏み込むなど、大幅な加筆修正がなされた。そのことで、年の瀬になってようやく草案段階でのゴーサインが金融庁から出たようだ。
折しも、2022年12月には東京海上日動あんしん生命の元営業職員による総額3・8億円もの金銭詐取事案が発覚するなど、生保業界への信頼度とイメージは回復するどころか、悪化の一途をたどっている。
再発防止に向けた指針策定すら右往左往している状況で、指針が今後まとまったとして、生保各社はその実効性を本当に確保できるのか。これ以上失態を演じ続ければ、消費者から見放される日は遠くない。

しかし、これは毒にも薬にもならないようなシャビイ(お粗末)なものを当初提示してきており、この業界は本当に自浄能力があるのかと疑問に思わざるをえなかったと金融庁の幹部が苛立ったような表情で話しているようで、酷評するのは生命保険業界が策定に向けて目下議論を進めている新たな営業管理指針だといわれ、業界団体の生命保険協会が中心となり同指針の検討を始めたのは2022年4月のことで、第一生命で元営業職員による19億円以上もの金銭詐取事件が発覚した2020年以前から生保各社では数千万円やときに1億円を優に超える金銭詐取事案が相次いでいることから、金融庁から実効性のある対策を求められたことがきっかけだったようです。
金融庁が激怒、保険業界の「新営業指針」の甘さ金銭詐取などの再発防止で問われる実効性
( 東洋経済ONLINE 2022/12/27 8:20 東洋経済記者: 中村 正毅 )
生命保険業界は再発防止に向けた指針策定すら右往左往している。
果たして、新たな営業指針が今後まとまったとして、各社はその実効性を本当に確保できるのか。
「毒にも薬にもならないようなシャビイ(お粗末)なものを当初提示してきて、この業界は本当に自浄能力があるのかと疑問に思わざるをえなかった」
金融庁の幹部が苛立ったような表情でそう話し、酷評するのは生命保険業界が策定に向けて目下議論を進めている新たな営業管理指針だ。
業界団体の生命保険協会が中心となり、同指針の検討を始めたのは2022年4月のこと。第一生命で元営業職員による19億円以上もの金銭詐取事件が発覚した2020年以前から、生保各社では数千万円やときに1億円を優に超える金銭詐取事案が相次いでおり、金融庁から実効性のある対策を求められたことがきっかけだった。
草案の中身は「基本中の基本」のことばかり
2022年9月に作業部会の初会合を開いて以降、あずさ監査法人の助言も得ながら、生保各社のトップとの意見交換などを経て、指針の草案が出来上がったのは11月に入ってからだ。
「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」というタイトルで、その内容は大きく分けて2つ。
「経営陣によるガバナンス(統治)体制」と「営業現場やコンプラ部門などのリスク管理のあり方」だ。
指摘事項は、営業職員を統括する支社長の役割や人事・報酬制度にはじまり、高齢の営業職員や成績優秀者への対応、金銭詐取を生じさせないための取り組みなど多岐にわたる。
A4判17ページで、各項目において参考にすべき取り組み事例を紹介するなど、営業現場で理解が深まる工夫も凝らしていた。
ところが、書かれている中身はといえば、「内部監査部門がその機能を十分に果たすには(中略)独立性が担保されていることが重要である」など、リスク管理の基本中の基本といえることばかり。
「管理態勢の更なる高度化」を謳っていながら、冒頭で金融庁幹部が酷評した通り、総じて毒にも薬にもならない稚拙な内容だったのだ。
骨抜きともいえる指針が出来上がる懸念は、当初からあった。
タイトルの文言を「ガイドライン(指針)」とすることに一部の生保が文句をつけ、「着眼点」に変更するなど、とにかく「業界として一律の規制が実質的にかかるようなことに対してアレルギー反応を示していた」(金融庁幹部)からだ。
そうした生保各社の消極的な姿勢が色濃く反映された指針に、金融庁が首を縦に振るはずもなかった。
さらに一部の生保が、独占禁止法を持ち出して指針の策定そのものに反発したことで、金融庁の強烈な不興を買うことにもなった。
生保各社が指針によって一律の営業管理態勢を敷くことになれば、カルテルや談合といった独禁法に抵触する行為につながりかねない、というのがその生保の主張だったが、金銭詐取など法令違反の再発防止を主眼とした業界全体での取り組みに、独禁法の観点を持ち出す必要性はまったくないはずだ。
金融庁が草案を一蹴し、大幅修正を要請
「業界としてミニマムスタンダードを歓迎しているのか」「このままでは到底世間に公表できない」。怒り心頭の金融庁はそう言って、指針の草案を一蹴。業界として内容の大幅修正を命じられるという有り様だった。
それから数週間後の2022年12月。業界側が改めて金融庁に提示した指針は、17ページから26ページに増え、内部監査に関する記述では、権限の強化や懲戒処分手続きに踏み込むなど、大幅な加筆修正がなされた。そのことで、年の瀬になってようやく草案段階でのゴーサインが金融庁から出たようだ。
折しも、2022年12月には東京海上日動あんしん生命の元営業職員による総額3・8億円もの金銭詐取事案が発覚するなど、生保業界への信頼度とイメージは回復するどころか、悪化の一途をたどっている。
再発防止に向けた指針策定すら右往左往している状況で、指針が今後まとまったとして、生保各社はその実効性を本当に確保できるのか。これ以上失態を演じ続ければ、消費者から見放される日は遠くない。
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