金融庁が保険業界の死角にメスを入れるため代理店に実態調査
金融庁は保険契約を巡るトラブルが相次ぐ保険代理店にメスを入れ、財務局と連携して代理店への聞き取り調査の回数を大幅に増やすほか保険各社に代理店管理の強化を求める今夏をめどに代理店対応の強化策をまとめた指針を公表することを報道配信しました。
保険各社にとって代理店は主要な販売チャネルであり、保険代理店には生命保険で約8万、損害保険では約16万あるのですが、「保険内容を十分説明していない」といった苦情が相次ぐなか、代理店の動向に監視の目を光らせ、顧客保護の徹底を図る狙いだそうです。
ただ、生命保険協会によると生保代理店での契約に関する苦情は2019年度に過去最多の948件、新型コロナウイルス禍の20年度も700件ほどと高い水準だった代理店による保険販売を巡る苦情件数は近年高止まりしているそうです。
金融庁、保険業界の死角にメス 代理店に実態調査
( 日本経済新聞 2022年6月21日 5:00 (2022年6月21日 11:52更新) )
金融庁は、保険契約を巡るトラブルが相次ぐ保険代理店にメスを入れる。
今夏をめどに代理店対応の強化策をまとめた指針を公表する
財務局と連携して代理店への聞き取り調査の回数を大幅に増やすほか、保険各社に代理店管理の強化を求める。
「保険内容を十分説明していない」といった苦情が相次ぐなか、代理店の動向に監視の目を光らせ、顧客保護の徹底を図る狙いだ。
保険代理店は生命保険で約8万、損害保険では約16万ある。
保険各社にとって代理店は主要な販売チャネルだ。
ただ、代理店による保険販売を巡る苦情件数は近年高止まりしている。
生命保険協会によると、生保代理店での契約に関する苦情は2019年度に過去最多の948件。
新型コロナウイルス禍の20年度も700件ほどと高い水準だった。
具体的なトラブルとしては、「公的保険の説明を十分していない」「外貨建て保険など元本割れのリスクを知らなかった」「(手数料目的で)短期間で次々に保険を乗り換えさせられた」などがあるという。
金融庁は代理店を巡る苦情の多さを問題視しており、8~9月に「保険代理店監督の高度化に向けたパッケージ策」を公表する方針だ。
施策の中心となるのが代理店への聞き取り調査の実施だ。
直接の監督権限を持つ全国の財務局との連携を強化し、募集の実態を細かく把握する。
これまで地方の代理店にはほとんど聞き取りができなかったが、財務局と連携して対象先や頻度を増やす。
集計した苦情データなどを効率的なモニタリングに生かすほか、代理店に対話を通じて自律的な体制整備を促す。
顧客からの苦情が長期にわたり継続するなど状況が改善していないと判断すれば、立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れる。
また、一定以上の規模を持つ代理店が保険業法に基づき金融庁に提出する事業報告書について、記載を求める内容を見直す。
「どの商品をどれほど売ったか」など販売動向に関する項目が中心だったが、代わりに「保険募集と独立したコンプライアンス部門の責任者が明確か」など顧客保護に関する体制の記載を求める。
代理店と販売契約を結ぶ生損保各社には全国に置く代理店担当を通じ、代理店の営業動向などへの管理を強化するよう要請する。
業界も自主的な取り組みを進めている。
複数の保険会社の委託を受ける乗合代理店が増加するなか、生保協会は代理店における「業務品質評価基準」を作成し、4月から運用を始めた。
顧客への情報提供や顧客のニーズの把握といった項目を定めている。
金融庁はこの評価基準を生保各社による代理店管理の参考指標として用いるよう促す。
施策には代理店への締め付けだけでなく、事務負担の軽減なども盛り込む。
保険募集人の登録料を納める際には指定の収入印紙に必要事項を記入して管轄の財務局に提出する必要があったが、電子納付できるようにするといった措置を想定している。
金融庁は17年3月に顧客視点に立った金融機関による「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定し、特に保険を重点分野の一つとしてきた。
最近では22年1月に外貨建て保険について「運用実績の高い商品をどの程度顧客に提供できているか」など共通KPI(重要業績評価指標)の導入を始めた。
金融庁はかねて代理店の業務管理体制に問題意識を持っていたが、代理店の数が非常に多く、監視の目が行き届かなかった。
「地方に所在する財務局も地銀や信金・信組との対話の機会はあるものの、保険代理店への聞き取り調査はほとんどできていなかった」(金融庁幹部)という。
金融機関に「顧客本位の業務運営」を強く訴えてきた金融庁だが、保険代理店については業界の自主性に委ね、苦情件数の高止まりにつながった面は否めない。
金融庁は財務局との結びつきを強めることで地方も含めて監視の目を行き届かせる考えだ。
それでも人員には限りがあり、実効性の確保は保険会社や代理店の主体性に委ねられる部分が大きい。
保険各社から一定の独立性を維持し、独自営業を進めてきた代理店に「顧客本位」を浸透させることができるか、真価が問われそうだ。
(手塚悟史)
上野泰也みずほ証券(チーフマーケットエコノミスト)
ひとこと解説
記事の内容の根幹部分とは関係ないが、なぜ金融庁の業務に財務省の地方出先機関である財務局が関与するのか、不思議に思う読者がいるかもしれないので、解説しておきたい。
日本では旧大蔵省が財政政策と金融行政の双方を所管していたのだが、これには問題があるという話になり、「財金分離」が行われて金融庁が発足した。
財務省とは別の組織が金融行政を所管することになったわけである。
だが、新しい官庁であり、当然のことながら地方に出先機関はない。
そこで、金融庁から事務委任を受ける形で、地方にある財務局が記事にあるような地方での金融行政関連業務も行っているわけである。
2022年6月21日 7:33

保険各社にとって代理店は主要な販売チャネルであり、保険代理店には生命保険で約8万、損害保険では約16万あるのですが、「保険内容を十分説明していない」といった苦情が相次ぐなか、代理店の動向に監視の目を光らせ、顧客保護の徹底を図る狙いだそうです。
ただ、生命保険協会によると生保代理店での契約に関する苦情は2019年度に過去最多の948件、新型コロナウイルス禍の20年度も700件ほどと高い水準だった代理店による保険販売を巡る苦情件数は近年高止まりしているそうです。
金融庁、保険業界の死角にメス 代理店に実態調査
( 日本経済新聞 2022年6月21日 5:00 (2022年6月21日 11:52更新) )
金融庁は、保険契約を巡るトラブルが相次ぐ保険代理店にメスを入れる。
今夏をめどに代理店対応の強化策をまとめた指針を公表する
財務局と連携して代理店への聞き取り調査の回数を大幅に増やすほか、保険各社に代理店管理の強化を求める。
「保険内容を十分説明していない」といった苦情が相次ぐなか、代理店の動向に監視の目を光らせ、顧客保護の徹底を図る狙いだ。
保険代理店は生命保険で約8万、損害保険では約16万ある。
保険各社にとって代理店は主要な販売チャネルだ。
ただ、代理店による保険販売を巡る苦情件数は近年高止まりしている。
生命保険協会によると、生保代理店での契約に関する苦情は2019年度に過去最多の948件。
新型コロナウイルス禍の20年度も700件ほどと高い水準だった。
具体的なトラブルとしては、「公的保険の説明を十分していない」「外貨建て保険など元本割れのリスクを知らなかった」「(手数料目的で)短期間で次々に保険を乗り換えさせられた」などがあるという。
金融庁は代理店を巡る苦情の多さを問題視しており、8~9月に「保険代理店監督の高度化に向けたパッケージ策」を公表する方針だ。
施策の中心となるのが代理店への聞き取り調査の実施だ。
直接の監督権限を持つ全国の財務局との連携を強化し、募集の実態を細かく把握する。
これまで地方の代理店にはほとんど聞き取りができなかったが、財務局と連携して対象先や頻度を増やす。
集計した苦情データなどを効率的なモニタリングに生かすほか、代理店に対話を通じて自律的な体制整備を促す。
顧客からの苦情が長期にわたり継続するなど状況が改善していないと判断すれば、立ち入り検査に踏み切ることも視野に入れる。
また、一定以上の規模を持つ代理店が保険業法に基づき金融庁に提出する事業報告書について、記載を求める内容を見直す。
「どの商品をどれほど売ったか」など販売動向に関する項目が中心だったが、代わりに「保険募集と独立したコンプライアンス部門の責任者が明確か」など顧客保護に関する体制の記載を求める。
代理店と販売契約を結ぶ生損保各社には全国に置く代理店担当を通じ、代理店の営業動向などへの管理を強化するよう要請する。
業界も自主的な取り組みを進めている。
複数の保険会社の委託を受ける乗合代理店が増加するなか、生保協会は代理店における「業務品質評価基準」を作成し、4月から運用を始めた。
顧客への情報提供や顧客のニーズの把握といった項目を定めている。
金融庁はこの評価基準を生保各社による代理店管理の参考指標として用いるよう促す。
施策には代理店への締め付けだけでなく、事務負担の軽減なども盛り込む。
保険募集人の登録料を納める際には指定の収入印紙に必要事項を記入して管轄の財務局に提出する必要があったが、電子納付できるようにするといった措置を想定している。
金融庁は17年3月に顧客視点に立った金融機関による「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定し、特に保険を重点分野の一つとしてきた。
最近では22年1月に外貨建て保険について「運用実績の高い商品をどの程度顧客に提供できているか」など共通KPI(重要業績評価指標)の導入を始めた。
金融庁はかねて代理店の業務管理体制に問題意識を持っていたが、代理店の数が非常に多く、監視の目が行き届かなかった。
「地方に所在する財務局も地銀や信金・信組との対話の機会はあるものの、保険代理店への聞き取り調査はほとんどできていなかった」(金融庁幹部)という。
金融機関に「顧客本位の業務運営」を強く訴えてきた金融庁だが、保険代理店については業界の自主性に委ね、苦情件数の高止まりにつながった面は否めない。
金融庁は財務局との結びつきを強めることで地方も含めて監視の目を行き届かせる考えだ。
それでも人員には限りがあり、実効性の確保は保険会社や代理店の主体性に委ねられる部分が大きい。
保険各社から一定の独立性を維持し、独自営業を進めてきた代理店に「顧客本位」を浸透させることができるか、真価が問われそうだ。
(手塚悟史)
上野泰也みずほ証券(チーフマーケットエコノミスト)
ひとこと解説
記事の内容の根幹部分とは関係ないが、なぜ金融庁の業務に財務省の地方出先機関である財務局が関与するのか、不思議に思う読者がいるかもしれないので、解説しておきたい。
日本では旧大蔵省が財政政策と金融行政の双方を所管していたのだが、これには問題があるという話になり、「財金分離」が行われて金融庁が発足した。
財務省とは別の組織が金融行政を所管することになったわけである。
だが、新しい官庁であり、当然のことながら地方に出先機関はない。
そこで、金融庁から事務委任を受ける形で、地方にある財務局が記事にあるような地方での金融行政関連業務も行っているわけである。
2022年6月21日 7:33
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この記事へのコメント
何を根拠にメスを入れるのか・・・クレームでのメスなのか?
結論は数字の世界で比較推奨しても新商品新商品と毎年商品改正され
数字。
終身医療も爆発的に市場を制覇でもマイナス金利で現在、商品改定しても割高になり中途付加しかないのでしょうね。
専業は結果・・・・・無理押しなりから数字。
トラブルありは現実
参考までに
終身医療保険・・・・考えると法人と個人で、社長は会社から給料貰いますよね。医療保険個人で掛けると生命保険控除対象。会社で掛けると経費で落とせるが給付は利益になり見舞金でとして貰えるが、反対に医療保険だけは個人にして死亡は会社として分ける事が合理的。会社清算したら契約者変更すればと言うが、これも下手するとトラブルの一つに該当するかもね。
何時もコメントをありがとうございます。
この記事に関係する記事が朝日新聞さんから紹介がされていました。
記事の内容は有料会員専用記事のため一部しか見ることが出来なかったのですが、下記の通りでした。
「監督指針の改正を考えているとの報道があった。金融庁の考えをご教示願いたい」と2021年9月22日、生命保険協会と金融庁の非公開の会合。終わりにさしかかったとき、協会の会長会社である住友生命の幹部がおもむろに切り出したそうです。
そして、この頃生保業界は騒然としていたそうで、保険を勧誘する際に公的年金や公的医療保険といった国の保険制度について「適切な情報提供」を行うよう、監督指針の改正を検討している――と突如こう報道されたからだそうです。
監督指針とは金融庁が免許を与えている保険会社に対して、「こういう部分をチェックしていきます」という方針を示したもので、そこに「民間保険を売るときに、公的保険をきちんと説明すべきだ」との内容を盛り込むという報道内容だったようです。
普段は業界への根回しに余念がない金融庁だつたのですが、今回は「唐突だ」「我々に十分な説明はなかった」などと生保幹部からは口々に反発の声があがったそうです。
この記事からもわかるように保険業界に対する金融庁の風当たりはかなり強く、今後の動向がとても気になるところですよね!
>がくがくダックさん
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>金融庁が保険業界の死角にメスを入れるため代理店?
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>何を根拠にメスを入れるのか・・・クレームでのメスなのか?
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>結論は数字の世界で比較推奨しても新商品新商品と毎年商品改正され
>数字。
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>終身医療も爆発的に市場を制覇でもマイナス金利で現在、商品改定しても割高になり中途付加しかないのでしょうね。
>
>専業は結果・・・・・無理押しなりから数字。
>トラブルありは現実
>参考までに
>終身医療保険・・・・考えると法人と個人で、社長は会社から給料貰いますよね。医療保険個人で掛けると生命保険控除対象。会社で掛けると経費で落とせるが給付は利益になり見舞金でとして貰えるが、反対に医療保険だけは個人にして死亡は会社として分ける事が合理的。会社清算したら契約者変更すればと言うが、これも下手するとトラブルの一つに該当するかもね。